ドル円

ドル円下落基調の始まり

ドル円の予想について、2023 年3 月末を125 円、6 月末を122 円、9 月末を120 円と、従来予想よりも円高ドル安方向に修正する。

  • 我々はドル円の予想について、2023年3月末を125円、6月末を122円、9月末を120円と、従来予想よりも円高ドル安方向に修正する。
  • 日銀は今週、10年国債利回りの許容変動幅の上限を0.5%程度のまま維持したが、市場ではこの先数カ月でこの上限が1.0%まで引き上げられるとの観測が続くと我々はみている。
  • ドル円が130円超に向かう一時的な反発の場面では、円買いドル売りを勧める。

ドル円の反発場面でドルを売る

日銀は1月17日~18日に開催された金融政策決定会合で、 10年国債利回りの許容変動幅の上限を0.5%に据え置いた。市場では1.0%への引き上げ観測が強まっていたが、これに反して現状維持が決定されたことから、ドル円相場は一時、発表前の128円から132円近くまで反発した。日銀の黒田総裁は会合後の記者会見で、12月会合の政策修正(10年国債利回りの上限を0.25%から0.5%に引き上げた)の影響を評価するには時間が必要と述べ、現行の大規模な緩和策は持続可能との考えを強調した。

だが、今回の現状維持の決定にもかかわらず、為替市場では10年国債利回りの上限が1.0%まで引き上げられるとの思惑が続くと我々はみている。こうした見方を支える根拠は、日本経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)のさらなる改善見通しである。天然ガス価格が下落するなか、日本の貿易収支はこの先改善が見込まれる。一方、サービス収支も中国を始めとする訪日外国人観光客の受け入れ再開から恩恵を受けるだろう。加えて、訪日観光客の回復や、まもなく始まる「春闘(春季労使交渉)」で見込まれる賃上げ確保により、日本の2023年のインフレ率は3~4%の高水準が続くと我々は予想している。こうした良好なマクロ経済環境を背景に、市場では日銀の追加修正観測が続き、ドル円の下押し圧力になると我々はみている。

以上を踏まえ、ドル円の予想について、3月末を125円、6月末を122円、9月末を120円へと、従来予想をドル安円高方向に大きく変更する。日銀は我々の当初の予想よりもかなり早期に金融政策の正常化に踏み切ったため、ドル円相場は1 ドル=125円にまもなく達する見通しだ。130円超に向かう一時的なドル円反発の場面では、円買いドル売りを勧める。

投資判断

見通し:市場が日銀による緩和政策のさらなる修正と米連邦準備理事会(FRB)の利上げの転換点を織り込む中、ドル円の下落基調は今後も続くと予想する。

境界線:130円超に向かう一時的なドル円反発の場面では、円買いドル売りを勧める。

リスク要因:日本経済のモメンタム(勢い)が後退するようなことがあれば、円高モメンタムが失われる可能性がある。

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本稿はUBS AG Singapore Branchが作成した“USDJPY: Downtrend intact”(2023年1月18日付)を翻訳・編集した日本語版として2023年1月20日付でリリースしたものです。本レポートの末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですので是非ご覧ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本レポートに記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本レポート中の全ての図表にも適用されます。

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