ドル円

日米金利差以上の大幅下落

ドル円の予想では2023年3月を155円、6月を150円、9月を140円に維持。だが、市場が米国の利上げサイクル終了に備えており、我々の予想より下振れするリスクが高まっている。

  • 我々はドル円の予想について、2023年3月を155円、6月を150円、9月を140円に据え置く。だが、市場が米国の利上げサイクル終了に備えているため、我々の予想よりも下振れするリスクが高まっている。
  • しかし、特に日米2年国債利回りの差が比較的安定していることを踏まえると、足元のドル円の下落は行き過ぎのように見える。これは、短期的に円に対して米ドルが再び150円に向けて上昇することを示唆しているものと考える。

短期的なドル円の回復を予想

足元のドル円の急落は行き過ぎであり、今後数カ月中に150~155円のレンジに向けて上昇する余地があると考える。こうしたドル円急落の主な要因は、予想を下回る10月の米消費者物価指数(CPI)(11月10日発表)を受けて米連邦準備理事会(FRB)のハト派転換への市場の期待が高まったことによる。だが我々は、こうしたハト派転換期待には慎重な構えである。特に米国労働市場がいまだにかなり逼迫している中では、単月のCPIが弱かったからといってFRBが即座にタカ派姿勢を転換するとは思えない。FRBは労働市場と物価圧力の軟化を示すさらなる指標を確認する可能性が高く、次回の非農業部門雇用者数(12月2日)と11月のCPI (12月13日)が注目される。

一方、日本の貿易状況と経済活動を示す指標は相変わらず芳しくなく、よって現在の黒田日銀総裁の下で(任期は2023年4月まで)短期的に日銀が金融政策を急転換する可能性は低い。日本の金利が大幅に上昇しない限り、円の上値余地は限られてくると考える。実際、日米2年国債利回りの差は依然として約4.5%とかなり開いている(右の図表参照)。日米金利差が比較的安定しているのに対して、最近のドル円の下落は不釣り合いに大きい。このことは、ドル円は日米金利差に見合う水準に収斂し、したがって短期的に円に対して米ドルが150円若しくはそれを上回る水準に向けて再び上昇するとの我々の見方を裏付ける。

2023年4–6月期(第2四半期)以降、ドル円は、FRBによる利上げサイクル終焉の可能性と日本の国内景気回復の追い風とが相まって反転すると予想する。特に中国が国外移動制限を緩和すれば、2023年に日本の観光業は大幅に回復するとみられる。物価上昇圧力により日銀は2023年下期に金融政策の引き締めに転換する可能性があり、そうなれば円の下支え要因になるだろう。

投資判断

見通し:短期的にドル円が150円若しくはそれを上回る水準に向けて上昇すると予想する。

リスク要因:日銀がイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)政策を修正し、例えば10年国債利回りの許容変動幅上限を現行の0.25%から1%へと突如大幅に引き上げる場合や、米国の経済成長とインフレ動向が急激に悪化する場合には、円に対して米ドルが一段と下落する可能性がある。

全文PDFダウンロード
本稿はUBS Switzerland AG およびUBS AG Singapore Branchが作成した“USDJPY: Outsized drop, compared to yield differentials”(2022年11月25日付)を翻訳・編集した日本語版として2022年11月29日付でリリースしたものです。本レポートの末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですので是非ご覧ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本レポートに記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本レポート中の全ての図表にも適用されます。

最新CIOレポート

UBSのウェブサイトに遷移します。

(3秒後に自動で遷移します)

×

三井住友信託銀行のウェブサイトに遷移します。

(3秒後に自動で遷移します)

×