House View Weekly

インフレ率はさらに高進

6月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比9.1%増となり、1981年11月以来の最も高い水準となった。

今週の要点

インフレ率はさらに高進

6月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比9.1%増となり、1981年11月以来の最も高い水準となった。ガソリン価格と食料品価格の上昇が寄与し、総合指数の前月比は、市場予想1%を上回る1.3%増となった。食品とエネルギーを除くコア指数では、前月比0.7%増となった。前年同月比では5.9%増となり、5月の6.0%増から若干低下した。

CPIの発表を受け、フェデラルファンド(FF)金利先物市場では引き締めペースの加速が織り込まれ、2022年末の取引所ツールによるFF金利予想は33ベーシスポイント引き上げられた(後に予測上げ幅は縮小)。

一方、こうした状況の明るい面として、景気減速に伴いインフレが沈静化すれば、来年2月早々にはFRBは利上げを停止することができるようになると足元の市場はみている。先物曲線は2023年の再利下げの可能性も示唆している。市場も、FRBがインフレを抑制できるようになると信頼を高めつつある。インフレ率は引き続き上昇しているが、市場が予想する期待インフレ率(ブレークイーブン・インフレ率)は4月21日の3.11%をピークに7月18日は2.32%まで低下した。

我々はこうした楽観的な見方を市場と共有しており、インフレ率は今年後半に低下するとの見方を変えていない。サプライチェーン(供給網)問題の改善により、需給バランスの改善が進むと考えている。同時に、家計圧迫により裁量消費項目やサービスへの需要は縮小するとみている。

要点:インフレ率は今後数カ月の間に低下すると考えるが、当面はFRBの目標値を上回って推移するだろう。歴史的には、こうした状況下ではグロース株よりバリュー株志向が強まる。一方、インフレへの期待と懸念が交錯し、市場の変動性は高止まりするとみており、ディフェンシブ資産の相対的魅力は増していると考える。

コモディティ価格は景気後退懸念を克服できる

ここ数週間、景気後退への懸念からコモディティ価格が大幅に下落している。13日のブレント原油価格は1バレル100米ドルを割り込み、6月上旬のピーク時から2割以上下落した。7月18日現在、ブレント原油は6月の高値を17%下回っている。卑金属の下げはさらにきつく、ブルームバーグ工業用金属サブ指数の同期間の下げ幅は25%に達した。

中国のゼロコロナ政策がさらなる景気の悪化を呼ぶのではとの最近の懸念に、欧米の消費支出を冷やすインフレへの不安が重なった格好だ。

だが、世界経済への逆風である今回のコモディティ価格の下落にも歯止めはかかると予想する。

中国政府のゼロコロナ政策は、より的を絞って行われると考える。また、中国では欧米を悩ませているような物価高騰は見られないため、追加的な金融および財政刺激策を繰り出す余地がある。中国は世界の工業用金属需要の約半分を占めており、世界最大の原油輸入国であるため、我々が予想している年後半の中国経済の回復はコモディティには好材料だ。

コモディティは長年にわたる過少投資の影響で供給が抑えられてきたという経緯があるため、深刻な景気後退に陥らなければ、これもコモディティ価格を下支えするだろう。

最後に、先週の世界の石油供給量を日量約100万バレル補強した米国政府による石油備蓄の放出だが、これは10月頃に終了する模様だ。一方、欧州連合(EU)は、年末までにロシア産原油の購入量を現在の日量約300万バレルからゼロ近くに削減することを目標としている。

要点:よって、コモディティのエクスポージャーを、特にアクティブ運用戦略を通じて取ることを引き続き推奨する。また、ブレント原油価格の回復はエネルギー関連株の下支え要因となると予想する。

厳しい市場環境ではヘッジファンドが分散投資先として有効

直近のパフォーマンス・データは、ヘッジファンドが引き続き重要な分散投資先であることを示している。2022年上期のヘッジファンド全体の平均パフォーマンスはグローバル株式を14ポイント上回っており、調査会社ヘッジファンド・リサーチのデータによれば、マクロなどの一部戦略は9%上昇している。これに対して、MSCIオール・カントリー・ワールド指数(ACWI)は約20%、バークレイズ・グローバル総合債券指数は9%下落している。

主要ヘッジファンドの値動きを示すHFRI総合指数は6月は3%下落したが、MSCI ACWIの-8.4%ほどの落ち込みは免れている。

特に足元の市場ボラティリティ(変動率)を踏まえると、ヘッジファンドは引き続き魅力的な分散投資先となるとみている。値動きの荒い展開や下落相場の局面では、マクロ分析等を基に様々な商品から投資先を臨機応変に選定する一任勘定のマクロ・アセットマネジャーが柔軟に利益を上げることが多い。

商品のロング・ショートの組み合わせによる価格差を狙うレラティブ・バリュー戦略(相対価値投資戦略)や、株式のロング・ショート戦略は、歴史的に債券をアウトパフォームしており、金利上昇局面では債券の効果的な代替商品になりうる。

要点:現在の地政学的、マクロ経済的、金融政策的な不確実性の高まりは、魅力的なリターンを生み出すためには「ベータを取る(市場に対する商品の感応度を軸にした投資)」だけではもはや不十分であることを示唆している。こうした状況下において、ヘッジファンドは魅力的な分散投資先になり得る。ただし、マネジャーの選定が極めて重要であり、リターンもそれにより大きく変動するという点には留意が必要だ。

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本稿は、UBS AGが作成したUBS House View-Weekly Global (2022年7月18日付)を一部翻訳・編集した日本語版として2022年7月20日付でリリースしたものです。本稿の末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですので是非ご覧ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本稿に記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本稿中の全ての図表にも適用されます。

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