中国株式

好材料が悪材料を上回る見通し

オフショア中国株式市場(MSCI中国指数)は、ロシアがウクライナに侵攻して以来26.9%下落し、ベンチマークであるMSCIアジア(除く日本)指数に対して13%ポイント劣後した。

  • 株価急落:オフショア(中国本土外上場)中国株式市場(MSCI中国指数)は、ロシアがウクライナに侵攻して以来26.9%下落し、ベンチマークであるMSCIアジア(除く日本)指数に対して13%ポイント劣後した。クレーンシェアーズCSIチャイナ・インターネットETFが37%下落するなど、中国企業が米国市場で発行するADR(米国預託証券)が下げを主導した。
  • 国内外のリスク:売り圧力が強まった背景として、国外では、原油・コモディティ価格高騰の経済への影響懸念、中国ハイテク企業に対する米制裁への警戒感、中国ADRの上場廃止リスク等が高まったことがある。さらに国内でも、不動産業界の債務問題に加え、新型コロナウイルスの新規感染者増に伴う一部都市での移動制限により、景気回復が年後半にずれ込む可能性が出てきたことから、リスク・オフ・ムードに拍車がかかった。
  • プラス材料が株価に織り込まれていない:オフショア中国株式のバリュエーションは過去最低水準に近い。これは、中長期的に堅調な利益成長が見込まれる中国企業のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を、市場がほとんど織り込んでいないことを示唆する。当面市場ボラティリティ(変動率)が高い展開が続くと見込まれるため、景気敏感セクターやバリュー株、一部の食品・飲料銘柄、再生可能エネルギー企業等を組み入れることを勧める。

株式市場のバリュエーションは5年ぶりのボトムまで下落

オフショア中国株式市場(MSCI中国指数)は、年初来では30%、過去2週間では25.7%下落した。中国株式市場の足元のPEGレシオ(予想株価収益率÷1株当たり予想利益成長率)は、過去平均から1標準偏差低い水準で推移し、5年ぶりのボトムまで下落している。中国株式は、複数の要因が重なり、売り込まれる展開が続いている。2月は新型コロナウイルスの新規感染者数が再び増加し、融資の伸びも予想以上に減速したことから、消費と景気回復の鈍化懸念が広がった。それと同時に、中国ADRの上場廃止リスクが高まり、またウクライナ危機対応のため中国半導体企業を対象とする米制裁の可能性が出てきたことから、大幅な下落圧力にさらされた。さらに、中国人民銀行(中央銀行)が中期貸出ファシリティ(MLF)の適用金利を予想に反して据え置いたことも、市場センチメントの悪化につながった。

中国政府は今年のGDP成長率5.5%と高い目標を掲げており、一部企業の経営上の問題も収束に向かう兆しが見え始めている。だが、市場はこうしたプラス材料を軽視し、過度に悲観的になっていると考える。市場ボラティリティ(変動率)は高い展開が続くと見込まれるが、我々は市場の中長期的な見通しについて引き続き楽観的であり、MSCI中国指数の足元から年末までのリターンを10%台中盤と予想する。


本稿は、UBS Hong Kong Branchが作成した“Chinese equities: Positives to outweigh the negatives”(2022年3月15日付)を翻訳・編集した日本語版として2022年3月25日付でリリースしたものです。本レポートの末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですので是非ご覧ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本レポートに記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本レポート中の全ての図表にも適用されます。

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