ドル円

悪材料重なり短期は円安見通し

ドル円が125円をつける可能性も否定できず、120~125円のレンジで推移すると予想する。だが最終的には世界貿易の回復に合わせて、ドル円は下落し落ち着きを取り戻すと見込む。

  • ドル円の見通しを、2022年6月末を122円(従来は118円)、9月末を120円(同118円)、12月末を118円(同115円)に変更する。
  • 経済指標の低迷、エネルギー価格の上昇、新型コロナウイルス感染拡大に対するまん延防止措置などの要因から、円安が進んだ。
  • ドル円が125円をつける可能性も否定できず、120~125円のレンジで推移すると予想する。だが最終的には世界貿易の回復に合わせて、ドル円は下落し落ち着きを取り戻すと見込む。

貿易赤字、資金流出、まん延防止措置が円安要因

さまざまな要因で円安が進んでいる。国内経済指標は市場予想を下回っており、輸出の減少と輸入コストの上昇を背景に、経常収支は赤字に転落した。米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)がタカ派姿勢を強めているのとは対照的に、日銀はむしろハト派であり、日銀の発言では円安をけん制できていない。大半の中銀はインフレ抑制を最優先課題に掲げているが、日銀は金融引き締めが経済成長に与える悪影響を重視している。

長引く貿易収支の悪化と高金利地域への資金流出を背景に、日本の経常赤字が長期的に続く可能性が高い。米国と日本の2 年債利回り格差は1 カ月足らずのうちに0.5%ポイント以上も拡大して約2.2%となった。利回りが2%以上広がると、日本の投資家が海外資産投資に向かうため、引き続き円安圧力となる公算が大きい。

ここ数日、金融市場ではリスクオフの地合いが後退しつつあり、安全資産として当初買われていた円が下落している。そのため我々は、年内のドル円予想を修正した。

投資判断

見通し: 円に対する逆風は、程なく和らぐ可能性はあるとはいえ、短期的にはドル円は一段と上昇する可能性がある。

レンジ: ドル円が125 円をつける場面もありうるが、リスクオフ地合いが高まればドルの一段高は抑えられるか、下落に転じる可能性もある。今後数週間は日銀からの円安けん制発言に注目する。

リスク要因:日本の景気減速に加え、エネルギー価格の上昇やFRBの金融政策正常化により、ドル円が125近辺まで上昇する可能性がある。反対に日銀が想定外にタカ派姿勢を強め、リスクオフの地合いが強まる場合には、再び120円を割り込む可能性もある。

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本稿はUBS AG Hong Kong Branch および UBS Switzerland AG が作成した“USDJPY: Too many negatives for the yen”(2022年3月23日付)を翻訳・編集した日本語版として2022年3月24日付でリリースしたものです。本レポートの末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですので是非ご覧ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本レポートに記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本レポート中の全ての図表にも適用されます。

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