ドル円

新変異株への懸念、取引は当面慎重に

新型コロナの新変異株「オミクロン株」をめぐる不透明感から、ドル円のインプライド・ボラティリティ(予想変動率)は1年ぶりの水準に急騰した。

  • 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」をめぐる不透明感から、ドル円のインプライド・ボラティリティ(予想変動率)は1年ぶりの水準に急騰した。
  • 新変異株による世界経済成長への影響が見通せるようになるまでは、円ショート(円売り・ドル買い)の積み増しには慎重に臨むことを勧める。
  • オミクロン株の影響は対処可能であるというのが我々の基本シナリオであり、ドル円相場の見通しについては、2022年3月を115円、2022年6月、9月、12月を116円とする従来予想を維持する。

オミクロン株の状況が明確になるまで、さらなる円ショートカバーに警戒

先週のドル円相場は大きく変動し、11月30日の115円50銭から今週初めには112円50銭まで米ドルが円に対して下落した後、本稿執筆時点で113円近辺でもみ合っている。米ドルが対円で急落した背景には、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の状況が刻々と変化する中で円売りポジションの買い戻し(ショートカバー)が進んだことに加えて、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しを市場が修正し始めていることがある。ただし、FRB高官(アトランタ連銀のボスティック総裁、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁、クリーブランド連銀のメスター総裁、パウエルFRB議長を含む)は、量的緩和縮小(テーパリング)加速の意向を示しており、これがドル円相場をある程度下支えしている。

オミクロン株に関する新たな情報が入れば、ドル円相場が大きく変動する可能性があり、今後数週間は非常に流動的な展開を予想する。為替先物市場で巨額の投機的な円ショート・ポジションが積み上がっていることもあり、年末に向けた市場流動性の低下が、例年以上に大きな相場変動をもたらす可能性がある。したがって、オミクロン株が重要な脅威かどうかが判明するまで、投資家は短期的な市場ボラティリティに過度なポジションを取らず、当面は取引に慎重な姿勢をとることを勧める。我々の基本シナリオでは、オミクロン株は対処可能であり、世界経済の成長見通しや金融市場の安定に脅威とはならないと想定しており、適度な円売り・ドル買いポジションを保有している場合は、保持し続けてもよいと考える。

投資見解

見通し:オミクロン株に関する状況がさらに明らかになるに伴い、短期的にドル円のボラティリティが上昇すると想定しておいた方が良いだろう。長期的には、オミクロン株が世界経済の成長見通しに暗雲を投げかけるというリスク・シナリオにならない限り、2022年は116円に向けて再び対円での米ドル高を予想する。

レンジ:年末に向けた市場流動性の低下に加えて、投機的な円売りネットポジションの増加やリスク・センチメントの弱さから、ドル円相場が例年以上に大きく変動する可能性がある。よって、短期的には取引レンジが拡大するとみている。ドル円は108~110円まで下落(米ドル安方向)する可能性も排除できない一方で、上値は116円近辺とみられる。

リスク:オミクロン株が世界経済の見通しに重大な脅威になることが判明し、FRBが金融引き締めスタンスを修正せざるを得ない場合には、ドル円は一段と大きく調整し105~110円のレンジまで米ドルが下落する可能性もある。

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本稿はUBS AG Singapore Branch および UBS Switzerland AG が作成した“USDJPY: Stay cautious”(2021年12月2日付)を翻訳・編集した日本語版として2021年12月3日付でリリースしたものです。本レポートの末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですので是非ご覧ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本レポートに記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本レポート中の全ての図表にも適用されます。

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