サステナブル投資

サステナブル投資の見通し

異常気象災害が世界各地で多発しているなか、11月に開催予定の国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP26)で、サステナブル投資に弾みがつくだろう。

  • 異常気象災害が世界各地で多発しているなか、11月に開催予定の国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP26)で、サステナブル投資に弾みがつくだろう。
  • インパクト投資は世界中で増え続けており、国際金融公社(IFC)によると、2020年の市場規模は2兆3,000億米ドルに達した。
  • 米証券取引委員会(SEC)は、ナスダックの多様性ルール(取締役の多様性に関する一連の諸規則)を承認した。これは同取引所に上場している3,000社を超える企業に影響を及ぼす。
  • 5年の期間で見ると、サステナブル投資(SI)指数は伝統的な指数と遜色のないパフォーマンスを示している。地域や戦略タイプによりパフォーマンスに差異がみられるため、分散投資が有効と考える。

グラスゴーに吹く変化の風:投資家への3つの影響

気象は本来、投資分析ではなく日常会話のテーマのはずである。だが、異常気象災害の短期的な影響と気候変動の長期的な影響を軽視することは、投資においても賢明な姿勢ではない。

先月末、ハリケーン「アイダ」がメキシコ湾岸と米国北東部一帯を襲って多くの人命を奪い、物的損害を引き起こし、ルイジアナ州ではハリケーン上陸後1週間にわたって数千人の人々が停電に見舞われる事態となった。その数週間前には、ドイツとベルギーでは破壊的な大洪水、ギリシャでは山火事、台湾ではこの半世紀で最も深刻な干ばつが発生している。こうした異常気象災害は、気候パターンの長期的な変動とも合わせて、尊い人命の犠牲はもとより、多大な経済的コストを招いている。世界最大手の再保険会社によると、2021年前半の自然災害で支払われた保険金は420億米ドルと、10年ぶりの高水準に達した。また、ドイツのショルツ財務相は、洪水後の経済の再建には60億ユーロ以上の費用がかかると述べた。

これらの出来事は、投資家にどのような影響があるだろうか?

第1に、大災害によって、投資の基本的な方針や投資判断において考慮すべきリスクが生まれている。自然災害のような深刻な物的リスクは、事前の備えが十分でない場合、インフラストラクチャーや公共施設、輸送機関、不動産、農業など物的資産への依存度が高い産業や地域に多大なる追加的損失を発生させる。長期にわたる台湾の干ばつや海水面の上昇といった慢性的な物理的リスクによって、サプライチェーンのシフトが必要となり、保険費用が増加し、企業は脱炭素化への移行に備える必要が出てくる。

第2に、英グラスゴーで開催される国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)を11月に控える中で、こうした異常気象の問題は追加的な規制リスクを発生させるだろう。気候問題に対するメディアや市民の関心が高まり、今年4月に開催された気候変動サミットでは、各国政府の本格的な削減目標が示された。世界のリーダーが一堂に会するCOP26グラスゴー会議では、気候問題の解決に向けた追加の資金動員計画が提出され、企業によるネットゼロエミッション(温室効果ガス排出実質ゼロ)へのコミットメントもさらに増えるだろう。こうした機運の中、脱炭素化に向けて動き出していない企業の規制リスクとレピュテーション・リスクは高まるだろう。

第3に、投資機会に目を向けることが重要だ。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が先月発表した「人類に対する緊急警報 (Code Red for humanity)」報告書では深刻な地球温暖化の状況が指摘されているが、クライメート・トランジション(脱炭素化への移行)は投資家にとって魅力的な投資機会をもたらすと考える。脱炭素化社会に対する消費者の要請が高まり、政府支出の拡大も見込まれることから、持続可能な食料生産からスマート・ウォーター(水供給過程全体を管理することにより、無駄を排除して運用を改善させるシステム)ネットワーク、再生可能エネルギー、スマートモビリティにいたるさまざまな分野で、脱炭素ソリューションを提供する企業が注目され、長期的な見通しも有望である。

投資機会:

  • 異常気象災害の発生頻度が増しており、経済的コストや犠牲者の数も増加している。その結果、企業や投資家、消費者、政府が気候問題に注目し、11月に英国で開催されるCOP26に向けた気運が高まっている。
  • 投資家は、気候変動に関する短期的、長期的なリスクが自身のポートフォリオにどう影響を及ぼすかを考慮した上で、二酸化炭素排出量の管理と気候変動への取り組みにおいて他社より優れたESGリーダー企業への投資を検討することを勧める。
  • 気候変動に対する悲観的な警告はあるものの、人とコミュニティ、エネルギー、土地利用、水資源ソリューションなど気候変動に関するさまざまなテーマには投資機会が見出せる。
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本稿は、UBS Financial Services Inc. (UBS FS)および UBS Switzerland AGが作成した“Sustainable Investing Perspectives: Sustainable investing"(2021年9月8日付)を翻訳・編集した日本語版として2021年9月16日付でリリースしたものです。本レポートの末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですので是非ご覧ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本レポートに記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本レポート中の全ての図表にも適用されます。

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