House View Weekly

巨大テック企業の決算は過去最高を記録

巨大テック企業の4-6月期決算は過去最高を記録したが、成長はピークが近く、今後は減速に向かう可能性が高い。

今週の要点

巨大テック企業の4-6月期決算は過去最高を記録、成長はピークに近い可能性

巨大テック企業が先週4₋6月期(第2四半期)決算を発表した。過去最高を記録、ないしアナリストの予想を上回る内容となったが、それにもかかわらず投資家の反応は鈍い。巨大テック企業には、当面株価のアウトパフォームを難しくさせる要素がみられるからだ。2020年はパンデミック下で巨大テック企業の業績が好調となったため、今年後半はそれを上回る業績を上げることが難しくなる。そのため、前年比増益率は第2四半期がピークとなり、その後は減速する可能性が高い。また、一部の巨大テック企業のバリュエーションが相対的に割高であることも憂慮され始めている。興味深いことに、広告とソフトウェア・セクターでは、事前予想を上回る第2四半期決算が好感され一部の中小型企業の株価が10~20%上昇したが、対照的に、中大型企業の株価の反応は鈍かった。

要点:巨大テック企業は長期的には安定した成長軌道をたどるが、今は相対的に知名度が劣っても構造的な成長が期待される企業にエクスポージャーを分散する好機であるとみる。戦術的観点から、「ネクスト・ビッグ・シング」、サイバーセキュリティ、デジタルサブスクリプションなどの投資テーマの中小型株に投資妙味があるとみている。

FRBのテーパリングへの動きは株価上昇の妨げとはならず

米連邦準備理事会(FRB)は、7月27~28日にかけて開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で、FRBが掲げる目標に向けて米国経済が「進展している」と初めて述べ、債券購入プログラムの縮小(テーパリング)開始条件である「さらなる顕著な進展」に向けて前進していることを示唆した。2013年に当時のバーナンキFRB議長がテーパリングを示唆したときは、金融市場の混乱を招き、株式市場の急落につながった。しかし、市場が今回も同じような反応をするとは我々は予想していない。FRBは市場とのコミュニケーションを慎重に行っている。パウエル議長は「我々が目標とする雇用の最大化に向けた大幅な前進には至っていない」と述べ、FOMC後の声明ではインフレ率の上昇が「一時的な」要因によるものであるとの見方を再確認した。期待インフレ率の上昇とパウエル議長のハト派の発言を受け、名目利回りは低下し、米国10年国債の実質利回りは先週、一時過去最低の₋1.18%に低下した。名目利回りは今後上昇し、実質利回りを押し上げるとみるが、そのペースは緩やかで、実質利回りは当面マイナスにとどまるだろう。増益の加速も株式市場を支えている。これまでのところ、S&P500種株価指数構成企業の第2四半期業績は約90%が予想を上回っており、第3四半期予想も上方修正されている。我々は2021年の1株当たり利益の伸び率を40%、2022年については10%とコンセンサスを上回る水準を予想しているが、こうした動きは我々の予想を裏付けるものだ。

要点:FRBは最終的な利上げに向けた市場の足場固めに取り組んでおり、これに対しては懸念はない。我々の投資テーマである経済再開と景気回復は順調に進展している。S&P500種は足元で4,400の水準にあるが、我々は2022年6月時点の目標値を4,650とする。

最悪のシナリオは避けられても、中国の規制リスクは長引く

中国政府は、急成長した学習塾業界を非営利化することを発表した。この動きを受け、当局による規制強化が今後どこまで広がるのかとの懸念が広がった。今回の決定により学習塾運営企業の株式は実質的に廃止となり、また教育セクターへの外国からの投資は認められず、学習塾の広告宣伝も禁じられる。他の産業が非営利化を迫られることは考えにくいが、不動産やヘルスケアなど国民の生活に密接に関係するセクターやニューエコノミーの一部でも規制が強化される可能性がある。中国政府による介入は、学習塾産業とその他産業とでは異なるようだ。中国政府は教育を公共財の一つと位置づけており、学習塾セクターへの今回の統制は、学齢期の子どもを持つ保護者の教育費負担を軽減し、出生率の押し上げにつなげる狙いもある。一方、テクノロジー・セクターについては、中国はハイテク技術の自給自足・内製化と世界における技術覇権という長期目標の実現に注力している。中国の規制当局はすでに、タクシー配車サービス、フードデリバリー(食品配送)、Eコマース、フィンテックなどの分野の規制に関しては世界の競合国と同じか先を進んでいると思われるが、データの機密保持と保護分野では後れを取っており、今後規制が強化される可能性がある。不動産セクターは、国民の生活に密接に関係する分野であるため、今後も住宅・土地の価格上昇を抑制する動きが続く可能性がある。ヘルスケア・セクターでは、医療用消耗品・機器の価格規制の強化が考えられる。

要点:中国オフショア株式市場については推奨を中立とする。中国企業の中期の収益見通しと株価バリュエーション見通しについては依然強気だが、くすぶる規制リスクが短期見通しに影を落としている。短期的には、政策リスクの影響を受けにくいグリーンテック、耐久消費財と消費サービス、エネルギー・セクターを推奨する。  

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本稿は、UBS AGが作成したUBS House View-Weekly Global (2021年8月2日付)を翻訳・編集した日本語版として2021年8月5日付でリリースしたものです。本稿の末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですので是非ご覧ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本稿に記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本稿中の全ての図表にも適用されます。

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