中国投資

規制強化が進む中国への投資戦略

足元で中国当局による規制強化が続いており、株式市場全体にも売りが広がっているが、経済全体へのシステミックリスクを引き起こすものではないと考える。

  • 中国政府による足元の規制強化は、経済全体へのシステミックリスクを引き起こすものではないと考える。国内総生産(GDP)成長率への影響は軽微とみられる。年後半に入り成長重視に政策がシフトしたことから、今年のGDP成長率は8.5%と予想する。
  • 株式については、政策の逆風を受けにくいセクター(グリーンテック、耐久消費財、エネルギー)の押し目買いを狙い、規制当局の監視の目が厳しいセクター(不動産、ヘルスケア、インターネット)は回避することを勧める。本土外(オフショア)市場よりも中国本土(オンショア)市場の方が魅力が高いと考える。
  • 債券については、不動産セクターのハイイールド債に対しては慎重姿勢を維持し、質の高い短期債への選別的な投資を推奨する。米ドル建ての投資家には、中国人民元が上昇した局面で戦術的(短期的)な人民元の買いポジションを縮小するとともに、原油や工業用金属といった景気循環色の強いコモディティセクターは保有を継続することを勧める。

規制強化が進む中国への投資戦略

足元で中国当局による規制強化が続いており、規制の対象セクターだけでなく株式市場全体にも売りが広がった。しかし、バリュエーションは低下しているが、企業利益の見通しは依然として底堅く、金融緩和も支援材料となるだろう。投資家は中国に対して、押し目買いで臨むべきなのか、それとも先行き不透明感が払しょくされるまで待つべきなのだろうか?

我々は、その両方を勧める。規制の逆風を受けにくいセクター(グリーンテック、耐久消費財、エネルギー)の押し目買いを狙う一方で、現在規制当局の監視の目が厳しいセクター(不動産、ヘルステック、インターネット)を回避することを勧める。また、足元、本土外(オフショア)市場より中国本土(オンショア)市場の方が魅力が高まっているようだ。

規制圧力の影響がおおむね株価に織り込み済みかどうかを判断するのは時期尚早とみられるため、IT銘柄の押し目買いについてはもうしばらく様子を見たい。株価が底を打つのはまだ数カ月先になるだろう。

ITセクターについては、ビジネスモデルが損なわれる状況には陥っておらず、いずれは回復するとみられる。だが、教育セクターは事業環境ががらりと変わりつつあり、深刻な混乱が長引く恐れがある。従って、当面、教育セクターからは距離を置くべきと考える。

最近の規制動向

7月初旬、中国国家インターネット情報弁公室(CAC)は、配車サービス大手について、個人情報の収集・利用に関して重大な違法行為があったとして、アプリストア運営各社に対し、同社のアプリの配信を停止するよう命じた。さらに、CACは、データの機密保護に関するリスクを回避するため、今後、中国企業が国外で上場する際には、政府による安全審査を受けるよう義務づけると発表した。今回の発表は、データの扱いに関する企業への取り締まり強化を示唆するものであり、中国ITセクターへの新たな圧力となるだろう。

中国当局はすでにサイバーセキュリティに関する関連法規を相次いで公布しており、法的枠組みの整備を進めている。IT企業の多くはデータ収集の収益化をビジネスモデルの軸としているため、こうした法案の影響はITセクター全体に幅広く及ぶ。サイバーセキュリティ領域の統制強化の背景には、ネット業界の個人情報の扱いに関する非倫理的な慣行を罰する必要性もある。

さらに、当局の規制強化は教育産業にも及び始めており、金融市場に波紋を広げている。中国国務院は7月24日、「双減(double-reduction)」と呼ばれる教育改革案を発表した。この政策には、小中学生への過剰な宿題と放課後学習の負担を軽減し、学校や放課後教育の質を高め、教育サービスの標準化を図るため、学習塾に対する包括的な規制措置が盛り込まれた。

特に重要なのは、既存の学習塾を非営利団体化することだ。株式上場による資金調達や外国資本の受け入れも禁じられる。広告も禁止され、週末や祝日の授業も認められない。この政策は、手始めに北京、上海、瀋陽、広州などの数十の都市で試験的に実施され、最終的に全土に拡大される方針である。

この規制は、1,000億米ドル規模に急成長した教育サービス業界にとって大きな打撃となる見通しで、7月23日以降、同セクターの主要銘柄は平均で約70%下落するなど記録的な下げを演じている。

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本稿は、UBS AG Hong Kong Branch および UBS AG Singapore Branchが作成した“Investing in China: How to play China's regulatory push”(2021年7月28日付)を翻訳・編集した日本語版として2021年8月3日付でリリースしたものです。本レポートの末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですので是非ご覧ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本レポートに記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本レポート中の全ての図表にも適用されます。

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