不動産市場
UBSグローバル不動産バブル指数
今年の『UBSグローバル不動産バブル指数』のトップ3はフランクフルト、トロント、香港だった。調査対象の住宅市場の中では、この3都市が最も「バブルのリスク」が高いと評価された。
2021.10.13
不動産市場は各都市ともに活況
今年の『UBSグローバル不動産バブル指数』のトップ3はフランクフルト、トロント、香港だった。調査対象となった住宅市場の中では、この3都市が最も「バブルのリスク」が高いと評価された。ミュンヘンとチューリッヒもそれに追随してリスクが高い。バンクーバーとストックホルムは「バブルのリスク」に再びランクインした。そしてバブルリスクの都市として最後にアムステルダムとパリがランクインした。米国ではマイアミ(シカゴに代わって今年指数入り)、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ボストン、ニューヨークについて調査したが、いずれも「割高」との評価となった。同様に割高なのは東京、シドニー、ジュネーブ、ロンドン、モスクワ、テルアビブ、シンガポールで、マドリード、ミラノ、ワルシャワは適正水準にとどまっている。ドバイは唯一割安と評価され、且つ唯一昨年よりも低リスクのカテゴリーに分類された。この1年で「バブルのリスク」は全体的に上昇した。それに伴い、この指数に含まれる多くの都市でも大幅な価格調整の可能性がある。
活況は短期にとどまる見通し
調査対象都市の住宅価格は、2020年半ばから2021年半ばまでの間に上昇率が6%(インフレ調整後)に加速した。2014年以降で最も高い伸び率だ。ミラノ、パリ、ニューヨーク、サンフランシスコの4都市を除くすべての都市で住宅価格上昇した。上昇率が2桁に上った都市もある。モスクワ、ストックホルム、およびシドニー、東京、バンクーバーの5都市だ。
住宅価格の高騰の背景には複数の特殊な状況が重なっている。主な要因は、新型コロナウイルスのパンデミック下で多くの人々が家に籠もることを余儀なくされた結果、居住空間への意識が高まり、住宅への出費意欲が高まったことだ。同時に、融資基準が緩和され、すでに有利だった借入条件がさらに改善された。さらに、貯蓄の増大と株式相場の急騰で、住宅取得に充てられる資金が増加した。
住宅価格の上昇が止まる可能性は否めない
多くの家計にとって、不動産市場に参入するにあたって大きな障壁となるのは弁済能力だ。これがクリアされれば、賃貸よりも所有のほうが諸費用が安く済むこと、また住宅価格がいつまでも上昇し続けるのではないかとの期待感も手伝って、価格の高さや負債を負うことになるにもかかわらず、持ち家が魅力的に見えてくる。こうしたことから、住宅市場の上昇は当面は続くかもしれない。だが、これは長期に亘って続くものではない。