不動産市場
UBSグローバル不動産バブル指数 2022年
調査対象都市の住宅価格の上昇率は2021年半ばから2022年半ばの1年間で名目ベースで10%へと加速し、2007年以来の高い伸びを記録した。
2022.10.11
主な結果
住宅価格の力強い上昇
調査対象都市の住宅価格の上昇率は、2021年半ばから2022年半ばの1年間で名目ベースで10%へと加速、2007年以来の高い伸びを記録した。価格上昇率が最も高い上位5都市のうち4都市を米国(マイアミ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ボストン)が占めている。
カナダと欧州で不均衡が大きい
カナダの調査対象都市はいずれも不均衡の度合いが非常に高く、トロントは指数の中でも最も高い。欧州ではフランクフルト、チューリッヒ、ミュンヘン、アムステルダムもバブルのリスクが高い。これに対し、米国では「バブルのリスク」領域に分類される都市はない。
アフォーダビリティ問題が表面化
昨年以降、住宅ローン金利は調査対象都市の平均で2倍近くに上昇した。価格上昇に伴い、都市部の住宅は一段と買いにくくなった。サービス・セクターで働く高スキルの労働者の場合、パンデミック前の3分の2ほどの広さの住宅しか買うことができない。
家計の負債比率が上昇傾向
ほとんどすべての都市で、家計の負債比率が上昇している。住宅ローン残高は2008年以来の増加を記録した。パンデミック以降の低金利と経済成長の鈍化を反映して、家計債務の対GDP比も上昇している。
都市化が再び進行
人々は都市に戻ってきている。世帯形成が力強く進む一方で持ち家が買いにくくなった結果、賃貸物件への需要が拡大した。その結果、昨年の賃料は平均7%値上がりし、パンデミックの初年度に膨らんだ賃料の喪失分をすべて埋めた。
悲観的な見通し
金利の上昇、高インフレ、金融市場の混乱、そして経済情勢の悪化が住宅ブームに圧力をかけている。住宅価格の価値評価が高い都市の大半では、価格調整がすでに始まっているか、今後数四半期で始まる見込みである。