米国株式

S&P500四半期決算、底堅さが見込まれる

インフレ、ウクライナ情勢など悪材料が重なっているが、米国企業の1–3月期の決算は底堅い内容になるとみている。

  • コスト上昇圧力、財政刺激策効果の剥落、ロシアによるウクライナ侵攻、金利上昇など悪材料が重なっているが、米国企業の2022年1–3月期の決算および企業による業績見通しは底堅い内容になるとみている。S&P500企業の1–3月期の1株当たり利益(EPS)は約10%の増益を予想している。これはボトムアップで算出したコンセンサス予想を5%上回る。
  • 直近数四半期と同様、大半の企業はコスト増を消費者に転嫁することに成功しているようだ。収益(売上高)は、実質ベースの国内総生産(GDP)よりも、インフレの影響を受ける名目GDPとの相関が高い。2022年度の名目GDP成長率のコンセンサス予想は、今年に入り1%以上上昇している。
  • 低所得顧客や海外市場へのエクスポージャーが大きい企業は、上記の逆風による打撃を受けやすいとみられるが、ISM製造業景況感指数が現在のように健全な水準にあるときには、通常、業績見通しは上方修正される。
  • 我々のS&P500企業の通期EPS見通しは変わらず、2022年は230米ドル(10%増益)、2023年は245米ドル(7%増益)を予想する。今後数四半期の経済成長とインフレに対する見通しが明確になるまでは、株式市場は概ねボックス圏での推移が続くと考える。ただし、企業利益が底堅く推移し、インフレがピークをつければ、安心感から目先、株価が上昇する可能性もある。年末時点のS&P500種株価指数は4,700ポイントと予想する。

重なる悪材料

インフレと金利上昇、ロシアによるウクライナ侵攻、中国のロックダウンなど悪材料が重なる中、米国企業の2022年1–3月期の決算発表が始まった。だが、これらの問題(の少なくとも一部)は、この先緩和に向かうと見込まれる。米国経済のモメンタムもまだ健在である。

3月の消費者物価指数(CPI)は40年ぶりの水準に上昇したが、中古車価格など、食品とエネルギーを除くコアCPIの伸びはいくぶん鈍化しており、インフレは3月にピークをつけた可能性がある。さらに、原油価格の高騰にもひとまず歯止めがかかっており、昨年のベース効果とも相まって、今後数カ月の間にインフレ緩和に寄与していくものと考えられる。

とはいえ、ウクライナ侵攻や中国のロックダウン再導入は、すでに混乱しているサプライチェーン(供給網)に新たな負荷を与えている。製品や部品の一時的な品不足を招き、物価上昇圧力となる可能性もある。また、ウクライナ侵攻で消費マインドが揺らいでおり、回復途中にあったコロナ後の製造業の戻りも一部鈍化している。ロシア産エネルギーへの依存度が高い欧州は、ウクライナ危機による打撃を受けている。だが、S&P500企業の売上高のうち欧州向けは約14%にとどまるため、欧州経済が減速しても米国企業の利益成長が妨げられることはないだろう。

米国では、米連邦準備理事会(FRB)の行き過ぎた利上げにより景気後退に陥るのではないかとの懸念から、経済成長に対する警戒感が徐々に強まっている。インフレ退治に向けてFRBの利上げペースが加速するとの思惑が広がり、債券利回りは急騰した。米国10年国債金利は2.8%と3年ぶりの高水準に上昇し、2021年末時の1.5%から大きく上昇している。住宅ローン金利も約10年ぶりに5%を超える水準まで急騰している。だが、自動車や住宅建設市場では供給網の目詰まりによる影響が依然続いているため、これらのセクターには成長を下支えするだけの累積需要が残っていると思われる。

景気後退入りは予想せず

我々は、今年と来年は総じて健全な経済成長が続くと予想している。企業と家計のバランスシートは強固で、潤沢な貯蓄を有し、負債比率は極めて低い。また、労働市場も引き続き力強く、これらが悪材料の緩和に寄与するとみている。我々は、S&P500企業の今年の利益成長率を10%、来年を6.5%と予想している。

力強い収益の伸びを見込む

2022年1–3月期は、新型コロナウイルスのオミクロン変異株や食品・エネルギー価格の上昇による影響を受けたものの、個人消費は底堅く推移したとみられる。賃金上昇とコロナ禍で積み上がった過剰貯蓄が旺盛な消費継続を後押しした。財政刺激策の効果はピークを過ぎたとみられるが、新型コロナからの回復が続く中で、追加の累積需要も顕在化してくるだろう。加えて、労働市場に戻る人も増えており、家計所得の伸びを下支えしている。また、S&P500企業の収益(売上高)は、実質ベースの国内総生産(GDP)よりも、インフレの影響を受ける名目GDPとの相関が高い。

上記の悪材料にもかかわらず、2022年の名目GDP成長率のコンセンサス予想は、今年に入り1%以上上昇している。製品やサービスの価格が上昇すれば通常売上高も伸びることから、これは納得がいく。いまのところ、物価上昇で需要が抑制されている状態を示す明確なデータは見当たらない。

よって1-3月期は収益が力強く伸びると予想する。コンセンサス予想では収益はおよそ11%の伸びが見込まれている。ここ数四半期からは鈍化するが、それでもコロナ前の水準と比べると極めて健全な伸びである。

全文PDFダウンロード
本稿は、UBS Financial Services Inc.が作成した“US equities: S&P 500 earnings: resilient”(2022年4月13日付)を翻訳・編集した日本語版として2022年4月20日付でリリースしたものです。本レポートの末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですので是非ご覧ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本レポートに記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本レポート中の全ての図表にも適用されます。

最新CIOレポート

UBSのウェブサイトに遷移します。

(3秒後に自動で遷移します)

×

三井住友信託銀行のウェブサイトに遷移します。

(3秒後に自動で遷移します)

×