通貨市場

米ドル高方向に潮目が変わる

世界経済の減速懸念、米国の名目・実質金利の上昇、インフレ率上昇などから、今後数カ月は米ドルがさらに買われやすい状況となりそうだ。

  • 頭打ち感が強まる世界経済、米国の名目金利と実質金利の上昇、供給制約を主因としたインフレ率上昇などから、今後数カ月にわたって米ドルがさらに買われやすい状況となりそうだ。
  • 第4四半期の米ドルは従来予想よりも底堅く推移し、上昇もありうる見通しであることから、我々は2022年に予想していた幅広い米ドル高の展開を、従来予想よりも前倒しする。
  • 金融政策の正常化を積極的に進める国の通貨、およびエネルギーやコモディティ価格の上昇の恩恵を受ける通貨を引き続き推奨する。超緩和的な金融政策の縮小に消極的な国や、経常収支が悪化している国の通貨は推奨しない。

我々の見解

米ドルは9月に幅広い通貨に対して値上がりし、上昇率はベンチマークによるが平均で1~2%となった。ただし、ノルウェー・クローネやロシア・ルーブルなどエネルギー資源国の通貨は、米ドル買い圧力に抵抗力をみせ、対米ドルで上昇した。また人民元も上昇した。中国の電力不足や景気減速を考えると、人民元の上昇は想定外だった。

トレンドを上回る成長率を示してきた世界経済にも頭打ちの兆しがみられ、米金利が名目、実質ともに上昇する中、今後米ドル高が一段と進みやすい状況になると我々はみている。今年年末時点の予想を、ユーロ/米ドルは1.15、ドル円は114円と、米ドル高方向に修正する。金融緩和策を概ね据え置く可能性の高い国・地域の通貨(円、ユーロ、スイス・フラン)や、経常収支が相対的に脆弱な国の通貨(タイ・バーツ、フィリピン・ペソ、インド・ルピー)は特に年末にかけて弱含むだろう。

一方、金融政策の正常化に舵を切り始めた国の通貨(ニュージーランド・ドル、ノルウェー・クローネ、英ポンド)やエネルギー価格高騰の恩恵を受ける通貨(ロシア・ルーブル、ノルウェー・クローネ、カナダ・ドル、マレーシア・リンギ)は他通貨をアウトパフォームするとみられ、2021年第4四半期は、対米ドルでも一時的に上昇する可能性がある。

ただし、この見方は中国の景気減速の波及が限定的であることや、米国の金融正常化観測に関連した景気鈍化懸念が落ち着いていることなどを前提としている。

我々は引き続き、ユーロ、スイス・フランに対し、英ポンド、ノルウェー・クローネ、ニュージーランド・ドル、シンガポール・ドルの買いを推奨する。また、中国人民元およびその他のアジア通貨の買いポジションに対してヘッジを講じることを勧める。

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本稿は、UBS AG Hong Kong Branch、UBS Switzerland AG、UBS AG Singapore Branch、UBS AG London Branch、およびUBS Financial Services Inc. が作成した“Currency markets: Shifting tides in favor of the USD”(2021年10月5日付)の一部を翻訳・編集した日本語版として2021年10月11日付でリリースしたものです。本レポートの末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですので是非ご覧ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本レポートに記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本レポート中の全ての図表にも適用されます。

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