ドル円

年末まで米ドルの上振れリスク見込む

ドル円相場の見通しは、主要通貨に対する米ドル高や日米の金利差拡大を背景に、米ドル高方向へ引き上げる。

  • ドル円相場の見通しは、来年9月末の1米ドル=116円は維持するが、短期予想については、今年12月末を114円(従来予想:113円)、来年3月末を115円(同:114円)、6月末を116円(同:115円)へと、それぞれ(米ドル高方向へ)引き上げる。
  • 短期バイアスは、主要通貨に対する米ドル高や日米の金利差拡大を背景に、引き続き米ドル高方向に傾斜している。
  • 上記見通しに対するリスクとしては、米連邦準備理事会(FRB)のハト派転換または日銀のタカ派転換などが挙げられるが、いずれも可能性は低いと考える。

米ドルと米国債利回りは再び上昇モメンタムが強まっている

ドル円相場は10月初旬に18カ月ぶりの高値となる1米ドル=112.1円を付けた。9月22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で予想以上にタカ派的トーンが示されたため、米国債利回りが上昇したことが背景にある。さらに、米ドルは主要通貨に対しても全面高の展開となり、ユーロ/米ドルは現時点で年初来安値の1ユーロ=1.155米ドルまで下落している。こうした背景から、ドル円は米ドルの上振れリスクが大きいとみられる。よって、ドル円相場の短期見通しを米ドル高方向に引き上げ、今年12月末を114円(従来:113円)、来年3月末を115円(同:114円)、6月末を116円(同:115円)に修正する。来年9月末の1米ドル=116円は維持する。

日銀は、国内物価の低迷から、G10中央銀行の中でも特に緩和政策の引き締めに出遅れるとみられ、したがって円は今後も調達通貨として売られやすい局面が続くだろう。景気回復をめぐる不確実性が根強いことから、新首相に就任した岸田文雄氏も、金融政策の急激な転換を求めることはないと予想される。黒田日銀総裁の任期満了が2023年4月であることから、今後12カ月は日銀のハト派バイアスが大きく変わることはないと考える。

米ドル高・円安見通しへのリスクとしては、米国の経済成長が予想外に減速し、FRBが明確にハト派に転じること、または日銀の政策スタンスがタカ派に急転換することなどが挙げられる。だが、いずれのシナリオも、現時点では、可能性は低いと考える。

投資見解

見通し:ドル円相場は、日米の金融政策の乖離により、今後12カ月は米ドル高・円安基調をたどると予想する。
レンジ:1米ドル=105円に向かえば日本の運用会社がヘッジ無しでの外債投資の積み増しに動くとみられるため、この水準が下値支持線として強く意識されるだろう。一方、115円は短期的な上値抵抗線となり、この水準では日本の輸出業者が為替ヘッジを活発化させるだろう。
リスク:日銀の政策スタンスが想定外にタカ派に転換すれば、投資家の間に動揺が広がり、(ドル円が100円を割り込むなど)円が上昇する可能性がある。逆に、米国の指標が予想以上に上振れた場合は、FRBがタカ派姿勢を強め、対円での米ドル上昇ペースが加速する可能性がある。

全文PDFダウンロード
本稿はUBS AG Singapore Branch が作成した“USDJPY: Upside risk into year-end”(2021年10月6日付)を翻訳・編集した日本語版として2021年10月8日付でリリースしたものです。本レポートの末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですので是非ご覧ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本レポートに記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本レポート中の全ての図表にも適用されます。

最新CIOレポート

UBSのウェブサイトに遷移します。

(3秒後に自動で遷移します)

×

三井住友信託銀行のウェブサイトに遷移します。

(3秒後に自動で遷移します)

×