日本経済

自民党総裁選と市場への影響

支持率調査によると、自民党総裁選では、国民の人気が高い河野氏か、国会議員の支持を集める岸田氏のいずれかが勝利し、次期首相になる可能性が高い。

  • 支持率調査によると9月29日の与党・自由民主党(自民党)の総裁選では、国民の人気が高い河野太郎氏か、自民党国会議員の支持を集める岸田文雄氏のいずれかが勝利し、次期首相になる可能性が高い。
  • 新総裁選出後は、大型の補正予算が編成され、現在の緩和的な金融政策が維持され、来る衆議院選で自民・公民の連立与党が地滑り的な勝利を収める可能性が高いと我々は見ている。
  • 我々は引き続き日本の経済と株式市場に強気の見方を維持する。次期政権の政策スタンスにより中長期の経済成長に影響が及ぶことが想定されるが、新政権の下、デジタル化やグリーン化技術投資を促す政策が実施されると予想する。

与党・自民党は総裁選を9月29日投開票の日程で行うことを正式に決定した。菅義偉首相が不出馬を表明したため、この選挙で党の新たなリーダーが決まる。総裁選には4人が立候補した。

誰が次期首相になるか?

日本経済新聞が9月9~11日に実施した世論調査で「次の首相にふさわしい人」を尋ねたところ、河野太郎氏がトップ(27%)となり、石破茂氏(17%)、岸田文雄氏(14%)、高市早苗氏(7%)、野田聖子氏(2%)が続いた。石破氏は不出馬を決めたため、支持率調査をベースにすると、河野氏か岸田氏が総裁選に勝利し、次の首相になると予想される。

自民党総裁選は2回投票制を取っており、1回目の投票は「国会議員票」383票と「党員票」383票の合計766票で争われる。1回目の投票で1位の候補が過半数を獲得すれば、その候補の当選が決まる。だが、最初の投票で過半数を得た候補がいなければ、上位2人の決選投票となる。決選投票は、国会議員票383票と都道府県票47票の合わせて430票で争われる。1回目の投票は、票数全体の半分を地方の党員票が占めており、世論の影響を受けやすい。だが、決選投票は、自民党国会議員からの支持が勝敗を左右する。

したがって、世論調査で最も人気が高い河野氏が1回目の投票で過半数を取れば、同氏が自民党の次期総裁となる。だが、誰も過半数を獲得できなければ、上位2人(河野氏と岸田氏の可能性が高い)が決選投票に進む。我々は、国会議員票は岸田氏が優勢とみている。そのため、河野氏が1回目の投票で過半数を獲得できなければ、決選投票は岸田氏が制するかもしれない。現時点での世論調査の結果から、高市氏と野田氏の勝利の見通しは低いと思われる。

経済政策はどう変わるか?

誰が次の首相になったとしても、新型コロナで疲弊した経済を立て直すべく(第4回緊急事態宣言は9月末まで延長)、今後数カ月以内に大型の補正予算が編成される可能性が高いだろう。日経新聞の世論調査によると、期待する政策として「新型コロナ対策」と「長期の経済成長」が上位に挙がった。我々は、経済対策の規模が30兆円を超えると予想しており、岸田氏も数十兆円規模の経済対策を打ち出すと言明している。また、日本銀行は現行の金融緩和策を維持する可能性が高い。インフレ率が弱いことから、候補者全員が、当面は金融緩和策の継続が必要との認識を示している。

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本稿は、UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント株式会社が作成した“Japanese economy: Implications of Japan’s LDP leader change”(2021年9月17日付)を翻訳・編集した日本語版として2021年9月21日付でリリースしたものです。本レポートの末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですので是非ご覧ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本レポートに記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本レポート中の全ての図表にも適用されます。
青木 大樹

UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント株式会社
チーフ・インベストメント・オフィス 日本地域最高投資責任者(CIO) 兼日本経済担当チーフエコノミスト

青木 大樹

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2016年11月にUBS証券株式会社ウェルス・マネジメント本部チーフ・インベストメント・オフィス日本地域CIOに就任(UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント株式会社の営業開始に伴い2021年8月に同社に移籍)。以来、日本に関する投資調査(マクロ経済、為替、債券等)及びハウスビューの顧客コミュニケーションを担当。2010年8月、エコノミストとしてUBS証券会社に入社後、経済調査、外国為替を担当。インベストメント・バンクでは、日本経済担当エコノミストとして、インスティテューショナル・インベスター誌による「オールジャパン・リサーチチーム」調査で外資系1位(2016年、2年連続)に選出。
また、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」やBSテレ東「日経モーニングプラス」など、各メディアにコメンテーターとして出演。著書に「アベノミクスの真価」(共著、中央経済社、2018年)など。UBS入社以前は、内閣府にて政策企画・経済調査に携わり、2006-2007年の第一次安倍政権時には、政権の中核にて「骨太の方針」の策定を担当。2005年、ブラウン大学大学院 (米国ロードアイランド) にて経済学博士課程単位取得(ABD)。

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