グローバル・ファイナンシャル・マーケッツ

対立する大国

変化する米中関係について、貿易、サプライチェーン、テクノロジーなど8つの分野を掘り下げ、投資への影響を探る。

競争的、協力的、敵対的

米中の非難の応酬は今後も続く可能性が高く、投資家心理を揺さぶりかねない。だが、これまでの経験に照らしてみれば、米中はともに、自国の利益を追求するために最悪のシナリオを回避し、最終的には両国とも合理的な道を選択するものと考えられる。我々は、米中関係の荒波を乗り越えつつ、米中双方に投資機会を見出すことができると考える。

50年前のニクソン大統領の訪中は、米中の歴史において重要な出来事だった。その際の共同声明で、両国は関係正常化に向けた取り組みとビジネスチャンスの拡大を約束した。

米中両国は、二国間貿易が相互利益をもたらすとの認識で一致したが、同時に、複雑な問題については互いの考えの違いを尊重し、両国の政治制度と外交政策には大きな隔たりがあることを認めた。台湾の将来も次世代に持ち越された問題の1つだった。

米国は中国との貿易によって、生活に身近な消費財の価格低下や、インフレ圧力の抑制といった恩恵を受けることができた。一方の中国は、農耕社会からの転換を遂げ、数百万人もの国民が貧困から抜け出し「適度に繁栄した社会」の構築に向けて前進した。

だが、中国の急速な発展は米国の覇権を脅かし始め、その結果、米中間の軋轢が増すようになった。20世紀後半の「包括的関与」の時代には「戦略的パートナーシップ」の政策が打ち出され、両国は互いを警戒しながらも、テロや宗教的な過激思想がもたらすリスクへと最優先課題をシフトした。今年政権を引き継いだバイデン大統領は、中国との関係を「熾烈な競争」と表現し、厳しい見方を示した。

本レポートでは米中関係の特徴を一般論化することを避けた。ブリンケン米国務長官は今年3月に米中関係を「必要に応じて競争的に(competitive)、可能な場合は協力的に(collaborative)、必要な時は敵対的(adversarial)」と表現した。結局のところ米中経済は切っても切り離せないほど結びついている。中国が他国へと貿易関係を拡大するにつれて、両国の相互依存性は徐々に弱まるとみられるが、当面は両国の政治的選択肢は制約される。

2018年に両国間の貿易摩擦が激化した際に、米国は消費者の利益を著しく損なう可能性のある関税を土壇場で見送った。対する中国もその対抗措置を取りやめ、米国やその他海外投資家の長年の信頼を繋ぎとめた。こうした米中の相互作用は、経済や地政学に関わる発言が強硬的となる場面では、最終的には論理と理性に沿って着地点が模索される可能性が高いことを示唆している。このことは、世界最大の資産市場である米中で投資機会を探る投資家にとって重要な点である。

我々は、最も重要と思われる8つのトピックについて掘り下げ、不安定な米中関係が投資にどのような影響を与えるかを検討した。図表1は、この8つのトピックについて、それぞれ米中間の協力的、競争的、および敵対的関係の度合いを図に示したものである。各トピックは相互に重なり合う部分が多く、関連する政策も複数のトピックに関係している。

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本レポートはUBS Financial Services Inc. (UBS FS), UBS AG Singapore Branch, UBS AG Hong Kong Branch, UBS Switzerland AG, および UBS AGが作成した“Clashing powers: The evolving US-China relationship and what it means for investors” (2021年9月1日付) を翻訳・編集した日本語版として2021年9月14日付でリリースしたものです。本レポートの末尾に掲載されている「免責事項と開示事項」は大変重要ですのでご確認ください。過去の実績は将来の運用成果等の指標とはなりません。本レポートに記載されている市場価格は、各主要取引所の終値に基づいています。これは本レポート中の全ての図表にも適用されます。

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